交通事故に遭われた場合、被害者は身体的損害(財産的損害)や精神的損害(非財産的損害)を受けます。
そういった場合に加害者側の自賠責保険会社や任意保険会社から治療費や慰謝料が支払われます。
今回は自賠責保険から支払われる治療費や慰謝料について解説します。
自賠責保険は法律で加入が義務付けられている保険であり、交通事故のほぼすべての事案で補償を受けることができます。
交通事故の件数は年々減少していますが、それでも年間30万件程度の事故が起きており、それらに迅速かつ平等に対応するため、「支払基準」が定められています。
自賠責保険会社はこの「支払基準」に基づいて保険金及び損害賠償額を算定し、支払いを行っています。
自賠責保険は傷害の場合、上限120万円まで保障されます。
今回は整骨院・接骨院に通った場合の補償内容や慰謝料の計算方法について解説します。
傷害による損害は積極損害(治療関係費、文書料、その他の費用)、休業損害および慰謝料に分けられます
社会通念上必要かつ妥当な実費が算定の基礎です。著しく高額で常識を逸するような費用の場合は、妥当な額の範囲で算定されます。
損害として認められるものは下記のとおりです。
初診料、再診料、又は往診料にかかる必要かつ妥当な実費が認められます。
治療のために必要かつ妥当な実費が認められます。
売薬に関しては、原則として医師の指示によるものに限り認められます。
通院費に要する交通費として必要かつ妥当な実費が認められます。
公共交通機関または自動車の場合、1kmあたり15円計算としています。
免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は必要かつ妥当な実費が認められます。
あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師の施術費用については、原則として医師が必要と認めた場合に必要かつ妥当な実費が認められます。
診断書、診療報酬明細書等の発行に必要かつ妥当な実費が認められます。
交通事故証明書、被害者側の印鑑証明書、住民票等の発行に必要かつ妥当な実費が認められます。
休業損害は、休業による収入の減少があった場合または有給休暇を使用した場合に1日につき原則として6,100円が認められます。
ただし、家事従事者については、休業による収入の減少があったものとみなします。家事従事者の証明については、住民票等で証明します。
休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし、被害者の障害の態様、実治療日数その他を勘案して治療期間の範囲内とします。
次の算式により算出されます。
次の算式により算出されます。
慰謝料は1日4,300円とされています。
慰謝料の対象となる日数は、被害者の障害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内です。
下図が慰謝料の計算方法になります。
慰謝料のモデルケースをご紹介します。
上記の計算方法に基づき、2日に一回のペースで通ったとすると下図のようになります。
自賠責保険は多くの事故事案に対応するため、支払基準が定められています。
事故後、任意保険会社等から治療費や慰謝料についての書類が届きますが、すべてに目を通している方は少ないのではないでしょうか。
これらを知っておくことで治療費や慰謝料が適正に支払われているか確認をすることができます。
また、交通事故治療に精通している整骨院・接骨院であれば、これらのことをしっかりと教えてくれます。
相手方の保険会社にすべて任せるのではなく、ご自身で確認することが大切です。
相手方の任意保険会社の対応に不満がある、自分のペースで治療を行いたい、そういった不満や悩みがありましたらご相談ください。
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